燃ゆる悪

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「とにかく今日はもう行くが、お前ももう少し考えて行動する事だ。 それと、明日仕事が終わったらお前も実家に来い」 「…分かった」 私には一言も話さないで、お兄さんはその場から去ろうとした まただ…この人はいつもそう 私なんて眼中にないと態度で表してくる 気に入らない いつまでもやられっぱなしで黙ってると思わないで! 「お兄さん」 「…何かな」 呼び止める私の顔を見て、お兄さんは鬱陶しそうな表情で答えた だから私も負けじと冷たい笑みを浮かべて言ってやった 「式のスピーチ、よろしくお願いしますね」 「か、佳純…?」 「……フッ、もし式を挙げられたらそうさせてもらおう」 お兄さんは不敵に笑い、そのまま扉を開けて出て行く 挙げられたら…か 「佳純…どうしたのいきなり…ていうか式のスピーチなんて兄がする筈無いよ」 「…分かってる。でも悔しくて…つい言っちゃったの。ごめんなさい」 「…いや、ごめん。謝るのは僕の方だ。こうならないようにしなきゃならなかったのに」 「本当はもっと早く話さなければならないと思ってたんだ…さっきも言おうとしたんだけど、ちょうど兄に邪魔されて」 「…会社、継ぐんだね…」 「…うん。とにかく座って話そう」 私達はリビングに戻り、翔介さんは私を椅子に座らせコーヒーを淹れてくれた 「…ありがとう」 席に着き、一息吐いて翔介さんは切り出す 「ーー結婚の話を急いだのも、勿論僕が会社を継ぐ事に関係しているんだ」 「うん…」 「最初は本当に継ぐ気は無かったんだ。それは信じて欲しい…」 「信じるよ…」 「だけどそうも言ってられなくなった。父が倒れちゃって」 「え…?」 「幸い一命は取り留めたんだけど…心臓の病気で、医者が話すにはいつまた再発してもおかしくないらしい。あまり永くはないだろうとも聞かされたよ」 「そう…だったんだ。大丈夫?翔介さんは」 「まあ…父さんもいい歳だしね、覚悟はしてる。だけどやっぱり父さんには色々してもらってばかりだったから、恩返ししなくちゃいけないと思った」 「私…実は前に麟君に聞いちゃったんだ。翔介さんは、会社を継ぐ気はなくても…お父さんのことは大事にしてるからきっと裏切れないって」 「そうだったんだ…まあ父さんは僕に会社を継がなくてもいいって言ってくれたんだよ 兄もいるしね…だけど今そうも言ってられない状況になっちゃってさ」 コーヒーを一啜りし、翔介さんは続けた
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