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「このタイミングで海外でのM&Aに失敗しちゃってね。業績が大幅に不振になったんだ…だから今父さんの抜けた所に兄が入ることになった…そしてゆくゆくは僕も兄のサポートをしなければならない」
…知らなかった。大企業だからずっと安泰ってわけじゃないんだ
「兄さんはその赤字を取り戻す為に、僕に政略結婚をさせようと考えてる。だからその前に僕は佳純と結婚しなくちゃと思ったんだ」
「…それが春宮さんなんだね」
「うん…佳純
改めて言わせて欲しい
僕が好きなのは佳純だけだ。佳純以外と結婚するつもりは絶対にない
だから僕を信じてついてきてくれないかな?」
そんなの、私の心は一つだよ
何を訊いても答えは変わることは無い
「勿論だよ。改めてよろしくお願いします」
私達は二人で笑い合い、永遠を約束した
「だけど兄はこのまま引き下がらない…多分だけど、何かしらの手段を使って僕らの邪魔をしてくるかもしれない」
…多分じゃなく絶対してくるよ
ーーー…お兄さんが翔介さんに政略結婚させようとするのは会社の為だけじゃない
だって……あの人は菜穂の事は気に入っていた。菜穂なら翔介さんの彼女に相応しいと、そう思っていた
私みたいに大して容姿も良く無い何も持ってない女が嫌いなんだ
そんな女が翔介さんの妻になるということが嫌で、だから春宮さんみたいな人をあてがったんだ
会社の業績不振を口実にしてーー
「…大丈夫、佳純の事は僕が何としても守る。だから安心して」
考え込み押し黙る私に、翔介さんは優しく微笑みそう言った
「…うん。ありがとう」
でも翔介さん…私はただ何かされるのを黙って待ってる気は無いよ
負けられない…向こうがその気なら、こっちから動いてやるーーー
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