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ーーー
…まさかまだあの女がうろちょろしているとはな
それにしても翔介はあの女のどこがそんなに良いんだ
全くもって理解できん
タクシーの中で、苛立ちを抑えきれず思わず電話をかけた
「…もしもし」
電話に出た麟に、威圧的に言い放つ
「麟。お前の報告と大分齟齬があったようだが、どういうことだ?」
「何が?」
「あの女の事だ。翔介の周りをウロチョロしている」
「……あーああ花井佳純さんか。どうしたの?」
怒りをぶつけるが、その返答に更に苛立ちが募る
「翔介の家にあの女がいた。恐らくだが、同棲しているんじゃないのか」
「え?そんなはずないと思うけど」
「それだけじゃない。翔介はあの女と、結婚すると言ってきた…思い出しただけで腹立たしい!お前はいい感じに進んでると報告したな?どうなってるか説明しろ」
「ええ…でも本当に翔兄は暫く佳純さんには会ってなかった筈だよ?ちゃんと翔兄の家まで行って確かめてたし」
「……春宮の御令嬢の事は?」
「……まあそっちはあんまりみたいだね」
「…俺はお前に頼んだと言った筈だが、お前は何をしていたんだ?」
「ちゃんとやってたよ!ただずっと見張ってるわけにもいかないしさ…!」
「…まあいい。とにかく話は帰ってからだ」
役に立たん奴だ…
粗雑に電話を切り、ため息を吐く
…早々に手を打たなくてはな
本当に籍を入れられたりしたらかなり厄介だ
あの様子じゃ翔介を切り崩すのは骨が折れるな…
となると、やはりあの女の方を諦めさせるしかない
さて…どうするかーー
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