スト彼

燃ゆる悪

「佳純…佳純が何でそんなに変わっちゃったのか、私にはわからない。だけど今の佳純はもう私が知ってる佳純じゃない…もういないんだね。あの頃の佳純は」

「…誰のせいだと思ってるのよ…

全部、全部菜穂が悪いんじゃない！！」

「違う」

…出たな雪村

「どう考えても自分のせいだろ。あんたが勝手に嫉妬して、勝手に攻撃してるだけだ」

「…雪村君」

突然現れた雪村が私の後ろからそう口を挟んできた

「…あんたに何がわかるの？関係ないくせに出しゃばって来るな」

「…あんたを見てると分かる。独りよがりで誰彼構わず傷付けてるだけだってのは」

「人間なんて皆独りよがりでしょ。あんただってそう…菜穂を助けるヒーローになってるつもりかも知れないけど、私から見れば自分に酔ってるだけにしか見えないけど！」

「あんたがそう思うならそれでいいよ。ただ僕はこの状況を見て見ぬふりは出来なかった。それだけ」

「いきなり現れて邪魔ばっかりしてーー

あんたさえいなければ…！！」

「…本当変わったなあんた」

雪村から飛び出したのは、意外な言葉だった

「…は？」

「昔はそんな感じじゃ無かったのに」

昔…？

「昔って、雪村君佳純の事知ってるの？」

「…まあね」

「…私はあんたなんて知らないけど」

「ーーまあそれはいいよ。とにかく、この場所にあんたの味方をする人間はもういない。分かったら幼稚な真似はやめて大人しく仕事に専念するんだな」

確かに

見渡す限り全員敵だ

もう私の味方をしてくれる人はいない

だけど私は一人でもやってやる

菜穂も雪村も春宮も
私を裏切った田宮さん達も

全員、後悔させてやるーー

「皆何してるんすか。仕事始まっちゃいますよ」