燃ゆる悪

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何で私は涙なんか…流したんだろう 恥ずかしい みっともない 弱さは、甘えは捨てた筈なのに どうして私はあんな醜態を晒してしまったのか 邪悪な人間のくせに まだ人並みの良心が残ってたのかな それとも、翔介さんといるから 私の中にあった嫉妬と憎悪も薄れてきたのかな そうだったらいいのに… ーーー 「私は蚊帳の外ですか。相変わらず」 オフィスに着くなり溜息混じりで春宮さんが私にそう言ってきた 「そんなに誘って欲しかったんですか。私の代わりに行けばよかったのに」 「…何を話されて来たんですか?」 「私に訊かなくても菜穂に訊けばいいじゃないですか。あ、雪村とももう仲良しなんでしたっけ?」 「気になっているなら教えて差し上げましょうか?あの方と何を話したか」 まあ …気にならないと言えば嘘になる 「花井さんが私に風見さんの鍵を隠す提案をした日 雪村さんが接触して来たのです」 ーーーー 「少しいいですか?」 「…何でしょう?」 「花井さんにまた何かするように頼まれたんじゃないですか?」 「…ええ。仕事の事で少し」 「大丈夫ですよ、隠さなくても。彼女が何をしているかは全部知っていますので」 「…雪村さんは花井さんとどんな関係なんです?」 「赤の他人ですよ。ここに来るまで話したことすらありません」 「では何故…」 「花井さんの事は知りませんがーーー」 「…成る程、風見さんの方ですか」 「……僕は彼女を救いたいんです。ですから春宮さん、僕に協力していただけませんか?」
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