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「彼と話すついでに私は風見さんも誘って三人で昼食を摂りに出かけました」
「そこで彼が提案して来たんです。花井さんを逆に陥れる策を」
…ーーーもしかしたら
あの男も菜穂のストーカーなんじゃないのか?
だから私が何かしている時もずっと見張っていたんじゃ…
そう思うと辻褄が合う気がする
「で、ご丁寧に何でそれを私に?今度はまた私に寝返ってくれるつもりですか?」
「……私はただ純粋に、花井さんが何も知らないのはフェアじゃないと思っただけですよ。それとーーー」
「…何ですか?」
奥歯に物が挟まったような口ぶりで話し、春宮さんは少しの間黙り込む
「…あの方が一つ、気になることを言っていたんです」
「…気になる事?」
「ええ。
確証は無いと言っていましたが
風見さんをストーカーしてる人がいるかもしれない。と」
「!!」
その一言を聞き、私の背筋に電流が走る
間違いない…翔介さんだ
「雪村さんは私が貴方に加担していると知りながら私を味方につけようとしました。ですが他にも私達の動向を知る人間がいたとすれば…それは私にとってもあまり芳しくありません」
「成る程。私の悪事に加担してるのがバレたら春宮の名に傷が付きますもんね」
「そこは否定はしません。ですから、花井さんにも犯人探しに協力していただこうかと」
「随分身勝手な発案ですね。私が裏切り者に協力すると思います?」
「…そうですね。もし協力していただけないなら貴方のしてきた事を全て鳥谷さんにお話します。
そうなれば翔介さんにも話は行き渡るでしょうね。
社会的に抹殺される上に翔介さんにも軽蔑されますが…それでも協力していただけませんか?」
この…女…!!
「本当、腹黒すぎて引きますね…どこまで性根曲がってるんですか」
「まあ、貴方はいざとなれば私を道連れに破滅を選ぶような方でしょう…ですから私もそんな愚かな策はできる限り採りたくありません。あくまで共生の道を選びたいのです」
「…犯人探しに協力したらいいんでしょ。分かったわよ」
「ありがとうございます。そう言っていただけると思っていました」
協力なんかするわけないだろ。翔介さんを捕まえさせてたまるか
それにしても…
あの男…
私の事だけじゃなく翔介さんの事にも感づいてる
という事はもう私と翔介さんの関係性も把握しているんじゃ…
ヤバい…何とかしないと
もしあいつが翔介さんにまで辿り着いて
万が一、翔介さんのあの黒い扉の部屋を見られたら
翔介さんの人生が終わってしまうかも知れない…
それだけは何としてでも阻止しなければ
翔介さんは必ず私が守るんだ
最悪あの男を
殺してでも…ーーー
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