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その顔を消し去るように、鏡に向かってシャワーを浴びせた
大丈夫…私は…菜穂の味方だもん…
考えるうちに頭がボーっとしてきた
間抜けにも、シャワーでのぼせそうになった
そろそろ出よう…
そう思ってドアを開いた瞬間だった
「きゃああああっ!!」
頭のてっぺんから叫び声がした
叫んだのは、私だ
ドアの前には、菜穂が立っていた
「び…びっくりしたぁ!」
「ごめん…電話あったからすぐ掛け直したんだけど出なかったから…」
「わ…わざわざ来てくれたの??」
「電話の時には、もうタクシーに乗ってたの」
「そ…そうなんだ…」
のぼせた頭と、先程までの自分の葛藤が混じり合いイマイチつっけんどんな答え方になってしまった
「ごめんね…今日…急に態度変わったりして…色々…思い出した事があってさ…あと、やっぱりちょっと怖くなって」
「大丈夫だよ。来てくれて良かった…私も菜穂に話あったから」
「話…?」
「…うん。とりあえず…服着ていい?」
私は今バスタオル一枚しか身につけていなかった
「あ…っ」
菜穂はちょっと笑った
それがすごく嬉しかった
私は服を着て頭だけ乾かし、菜穂にミルクティーを差し出した。勿論スティックタイプの
「話って、何?」
菜穂が切り出す
「あっ…あのね。今日、ていうかさっきまで…鳥谷さんといたの」
「…鳥谷先輩と?」
菜穂の表情が一瞬にして曇る
やっぱりこの話題はあまり良くないんだ
でも私はちゃんと話しをしないといけない
…菜穂の為に…?
自分の為に?
「菜穂の過去について、鳥谷さんが教えてくれたの…」
「え…!?何で!?何であの人が私の話すんのよ!!…ほんと信じらんない…」
激高する菜穂を見て、私は驚いた
今まで菜穂がこんなに怒ったところを見た事がなかったから
押してはいけないボタンが菜穂の過去にある気がした
「…ごめん、私がきいちゃったの…今日、菜穂の様子おかしかったから…でも…あの人が自分を正当化しようとして嘘ついてる可能性もあると思ったから…菜穂にきちんと本当のことを訊きたかったの」
私は思い切って菜穂の核心に踏み込んだ
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