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「本当に言ったんですね……」
「最低だと思っただろう…」
「思っています。あなたのせいで、菜穂は人間不信になって学校に行けなくなったんですよ!?」
「…言い訳になるかもしれないが」
「言い訳があるんですか…」
「…あれは、僕なりに風見を想って言った事だったんだ」
「…どういうことですか」
そんな筈無いと思いながらも、私は理由を問い質した
多分まだ、この人を悪人にしたくない気持ちがあったからだろう
「あの時…ああ言えば、風見に向けられた悪意を少しでも収められると。僕はそう思っていたんだ…今思えば甘かったと思う…でも彼女達が風見をいじめる理由は恐らく僕にあったんだと、それはわかっていたから…僕が彼女に興味が無いと分かれば、いじめは収まると…そう信じていた」
「なら何でいじめを看過してたんですか!?少なからずあなたの言葉には影響力があったんじゃないですか!?」
「僕の中の女子というものは、止めようとするほど燃え上がる。そういうものだと思っていたけど…」
…そこは違わないと思う。たしかに…余計に火が着く可能性もあったかもしれない
「だけど…それが間違えていたんだね…結果的に風見を追い詰めたのは、僕だった…」
「…少しでも後悔があるなら、やっぱりあなたは菜穂にきちんと謝るべきだと思います。謝って…これから償っていくべきだと思います。陰からではなく、きちんと正面から堂々と」
「…それは出来ない」
「どうしてですか!?」
「…僕は…僕が…人より歪んでいるから…」
鳥谷さんはポツリと漏らした
「歪んでる?」
「今更正せないくらいの歪みを、僕は持ってしまったから」
簡単に言うと…合わせる顔がないと
そういうことなのかな
「だから僕は、この歪みと共に生きると決めた…例え大犯罪者になり捕まったとしても
この道を突き進むと決めたからーーー」
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