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仕事を終えると、私達は今日も二人で食事に出かけることにした 「今日は何にする?」 「今日は中華とかどう?」 「いいね!そうしよう!」 そんなやりとりをしていると、菜穂の携帯が鳴った 「…あっ」 菜穂は私の顔を見て苦笑いした 「…警察からだ」 菜穂は電話に出ると、うんうんと頷いている 「え!?捕まったんですか?」 え!?犯人捕まったの…? 昨日の今日で捕まるとは…やっぱり警察って凄い…というよりかは犯人が…か 菜穂は電話を切り私に言った 「今から警察に来てくれって」 …どうやら、中華は中止になりそう ーーーー 案内されるがままに警察署の中を行く 「こちらにどうぞ」 菜穂と二人顔を合わせ、互いに緊張した面持ちで案内された部屋へ入る 「花井さんが一緒にいてくださって助かりました」 「え?」 部屋の中へ入ると、ガラスがありその向こう側に更に部屋があった 警官の方が私に尋ねた 「あの人に見覚えはありますか?」 「あ…あの人…!」 ガラスの向こうには、菜穂の家を荒らしていた犯人がいた 「…あの人が権藤って人ですか」 「やはり面識はないのですね…」 「…はい」 「犯人は空き巣だと言ってましたが、恐らくそのようですね。となると…風見さんの言ってたストーカーというのはまた別の件になるわけですが…」 「…あんな人、会ったこともないですね」 私は内心、罪悪感でいっぱいだったがその気持ちを押し殺しながら菜穂に言った 「…やっぱり空き巣みたいだね」 「…だね。まあでも捕まっただけ良かったとするか!」 「ストーカーというのも、もしかしたら風見さんの行動パターンを掴み犯行をスムーズに行う為だったのかも知れません。家に何度も下見に行くのは空き巣の常套手段ですので」 「そう、ですかね…」 イマイチ腑に落ちない感じで菜穂は答えた しかし犯人も空き巣と認め、それ以上の追及が意味を成さないので菜穂もそう言った感じだった 裁判や慰謝料等、長々と色々な説明を受け私と菜穂は解放された 去り際に私は犯人の顔を見た 犯人はふてぶてしく、ヘラヘラと笑っていた 不意に恐怖が襲い、私は咄嗟に目を伏せた
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