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ふと、私はトイレの中であの犯人の顔が脳裏によぎった あの人は…菜穂の事を何も知らない 何も知らないから、平気で傷つけることでも出来る でも…私は 菜穂の一番近くで…何をしているんだろう… 手にする携帯が熱を帯びているのか、または自分の手が熱を持っているのか 私は胸が痛くなり、暫くトイレから出られなかった 「大丈夫ー?」 心配になったのか、外から菜穂が声を掛けてきた 「うん…平気、ごめん。ちょっと気分悪くて」 「え!?大丈夫なの?ピザ食べれる?」 「多分一過性のものだから大丈夫!」 時間を見るとかれこれ20分はトイレにこもっていた そりゃ心配するよね… 私はドアノブに手をかけ、あの顔を浮かべ、抹消した 私はあの顔を知っていた そう…あの犯人の顔を見て怖くなった理由は、犯人の異常性を垣間見たからではない あれは 昨晩…鏡に映った私自身と 同じ顔をしていたんだ…
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