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多分突き詰めていけば、私もこの人と同じ道を辿るタイプの人間だ
今迄は誰かや何かにこんなに執着したことがなかったからわからなかったけど…
菜穂に狂わされるこの人のように…
この人もまた、私を狂わせる
「私は、ストーカーなんてしません!」
だけど私は精一杯突っ撥ねて見せた
「ごめん、そういう意味じゃないよ」
「僕が言いたいのは、君も自分をあまり好きじゃないんじゃないかって事だよ」
「……どうしてですか?」
「多分、君も風見に惹かれるところがあるんじゃないかな?」
「それは…ありますけど」
菜穂は私にないものを全部持ってる。だから私はそんな菜穂を尊敬している
「けど私は!菜穂と友達でいられる自分を誇りに思っています!自分が嫌いなんかじゃありません!」
「それは君が風見を寄る辺にしているからじゃないかな。万が一風見に嫌われた時…君は自分自身を好きでいられる自信がある?」
「…それは」
絶対…無い…
私にとって、菜穂はそれほどに大きな存在だから…
「…ごめん。ちょっと意地悪すぎたね…こんなことを言うつもりじゃなかった…ただ僕は…そんな君に頼みがあって今日ここに誘ったんだ」
「…頼み?」
「うん」
彼が真剣な眼差しで私を見つめる
「失礼します」
すると横から店員さんがドリンクを置いてきた
静かに会釈しながら店員さんは下がった
少しの間、その場に沈黙が流れる
「あの…」
私が切り出そうとした瞬間だった
「僕と、付き合ってくれないか?」
…………へ??
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