片想い

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「じゃあ私はこの辺で失礼します!ご馳走さまでした!」 「おう、明日遅刻すんなよ」 「わかってます!」 「気をつけてね佳純!じゃあ月島さん、佐伯さん!もう一軒行きましょう!」 「菜穂も早く帰りなよ…」 「ったく、次の店では酒禁止な。明日ちゃんとこいよお前」 「わかってますぅ」 真っ赤な頬でそう言う菜穂。全く説得力がなかった 「ではおやすみなさい」 そして私はみんなと別れ、電車に乗った 少し飲みすぎたかな。頭フワフワする 終電近い時間なので、辺りに人は全然いなかった。車内はまるで貸切状態だった 私は座席に座って俯いていた だんだんと、電車の揺れが気持ち悪くなってきた いいや、人いないし…寝転んじゃお 私は座席に身体を寝かせた 「…きもちい」 座席の冷たさが頬に心地よさを感じさせる それから少しすると、電車が駅に止まりドアが開いた あっ、誰か乗ってくるかな…起きないと… そう思うけど、身体が拒絶する まあこんなに広いし…誰もこないし…いっかぁ… そう思った瞬間だった 男の人が一人、電車に飛び乗ってきた 男の人は息を切らしながら私の前の席に座った 私は寝てる為顔が見えないけど、男の人が肩で息をしているのがわかる 「大丈夫ですか?」 「えっ!?」 突然、前に座ってた筈の男性は私の前に立ち声を掛けてきた 私は大丈夫だと伝える為慌てて頭を起こした その瞬間、私の酔いは一気に醒めた 声を掛けて来たのは 私が焦がれ続けている彼だったーーー
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