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「ちょっと見ないうちにまた随分綺麗になったわねえ…モテてモテて仕方ないんじゃないの?」
「全くそんなことありませんよ!」
そう言うおばさんこそ、とても二十歳過ぎの娘がいるとは思えないほど若々しかった
「今日はお一人ですか?」
「そうよ。暇だからブラブラとね!菜穂ちゃんも?」
「そんなところです」
あれ?そう言えばおばさん…体調良くなったのかな…
「あの、身体の方はもう大丈夫なんですか?」
「身体?見ての通りピンピンしてるわよ!」
確かに、とても昨日まで熱があったようには見えない…
私は頭の中に疑問点がいくつも浮かび上がり、少し押し黙った
そんな私の疑問を全て晴らすかのように、おばさんは尋ねてきた
「菜穂ちゃんうちの子に言っておいてくれないかしら。たまには帰ってくるようにって」
………え?!
脊椎から稲妻が走ったような衝撃が私の中を駆け巡る
まさか……佳純が…
私に嘘をついてる…??
「ど、どうかしたの?菜穂ちゃん」
「え?あ、いや!大丈夫です!ちゃんと伝えておきますね!」
「お願いするわね。これからお昼しようと思うんだけど、まだだったら良ければ一緒にどうかしら?」
「…あ、私はもう食べたので…すみません」
「あら!残念…じゃあまたうちに来てね?おばさん腕によりをかけるわよ!」
「是非お願いします!それじゃ、失礼します!」
「またね、あの子にもよろしく」
ふらふらと店を出、覚束ない足元を必死で定まらせようとする
佳純が…私に…嘘をつくなんて…
他の人間ならまだしもーー
あの佳純が…ーーー
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