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ーーー翌日 私は職場に着いた瞬間、菜穂のデスクを確認した …あ!来てる!! 凛とした佇まいで、菜穂は自分のデスクでパソコンと向き合っていた 「菜穂!おはよう!大丈夫だった…!?」 私は颯爽と菜穂の元に駆け寄り尋ねる 「…!」 菜穂と目が合い、それが睨んでいるかのように見えた 「…おはよう、佳純。ごめんね昨日は…ちょっと疲れてて返事出来なかった」 「…気にしないで!私こそ疲れてる時にごめん…!体調は大丈夫?」 私は内心少しドキッとしながら菜穂に返した 「…うん。大丈夫…ありがと」 そう言ってはいるけど、菜穂の目にはクマが出来ていた 心なしか少し顔もやつれて見える… 「…無理しないでね」 「うん…ごめん、ちょっと来週までに企画書出さなきゃいけないから集中するね」 「あっ!ごめん!あの、良かったらお昼は一緒に行こ!」 「…うん」 今の…少しだけ拒絶するような口調だった…気がするだけかもしれないけど なんだかいつもの菜穂とは違っていた …何があったんだろう… 気になる私はお昼が待ち遠しくて仕事どころじゃなかった 「花井!ここ添削ミス!ここも!チェックあめーよ!」 「すみません…!」 朝から何も手につかず、月島さんや他の人に怒られてばかりだった 菜穂の方を何度かみるけど、菜穂はこちらに見向きもせずパソコンとにらめっこだった そして漸くお昼のチャイムが鳴った 「菜穂…お昼にしよ?」 私は菜穂に声をかける しかしその場には沈黙が流れる 菜穂は集中しているのかずっとパソコンを見ている 数秒の沈黙の後に菜穂が言った 「……お待たせ、行こっか!」 一瞬、無視されたかと思って怖かった… なんだか今日は…私達らしくないなぁ…
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