愛憎

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どういう意味だろ… 「もう少ししたら着くよ」 彼は少し離れたマンションを指差しながら言った 「え?あのマンション!?」 私は驚いて声のボリュームが上がってしまった あのマンションって… マンションに近付くと、その驚きは益々強くなってゆく 「こ、ここ…すっごい高級なマンションなんじゃ…」 そびえ立つタワーマンションを見上げ私は尋ねた 「はは、そうなのかな。まあ僕の力じゃないよ…父が買ってくれたんだ」 買ってくれたって…こんなマンションを!? もしかして、いやもしかしなくても…翔介さんって超お金持ちなんじゃ…… 「一応社長だけど、想像してる程のもんじゃないよ」 「ほえ…」 想像すら出来ないよーーすごすぎて…! 「あ、もしかして女の子を呼んだことないのはこの家を見られたくなかったから?」 お金持ちって思わせるとそういう目でしか見ない女性っているもんね… 「ハハッ、そんなんじゃないよ」 軽く流して彼はマンションの玄関でセンサーにカードキーをかざす カードキーで入る家なんて初めて見た… 自動ドアが開き、彼が促してくれた 「どうぞ」 「あ…ありがとう…」 恐る恐る足を前に出すと、エントランスからすでに高級感が漂っていた マンションていうよりは…ホテルみたい… 凄く高そうなソファーも置いてある… 「無駄に広いよね。入り口がこんなに広くても意味ないよね別に」 笑いを誘っているのか本気なのかわかりにくい彼の言葉に私は笑うしかなかった 「ここの28階なんだ」 そんな高さの部屋あるんだ… 高速で上がるエレベーターに興奮しながら、彼の部屋の前に辿り着く またカードキーを出しかざすと、ドアが開いた 「さ、上がって」 思考を停止させながら靴を脱ぎ、長い廊下を抜ける そんな私の目に飛び込んできたのは、非日常の世界だった
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