愛憎

7/16

215人が本棚に入れています
本棚に追加
/549ページ
私達は着替えを済ますと、更衣室を出た 「おはよーさん」 偶然月島さんが前を歩いていた 「おはようございます!」 「おはようございます」 「どうだお前ら、久しぶりに今日飲みに行かねえか?」 きっとこないだの菜穂が休んだ時の件から月島さんなりに気を遣ってくれてるんだろうなと察した 「私はいいですけど…佳純、大丈夫なの?」 「大丈夫だよ!今日は彼も忙しいみたいだから」 「え?花井彼氏出来たのか?」 「あ、すみません言ってませんでしたね。例の電車で会う彼と付き合えることになったんですよ…」 「マジか!?すげえ衝撃だわ…今日の夜色々聞かせろよ!さっ、まずは張り切って仕事すんぞ」 そう言い去る月島さんの背中を見ながら、菜穂が呟く 「朝から元気だねぇ…月島さん」 「…だね」 ーーーーー 「いやぁ、高校からの片想いだったか?実って良かったな!」 行きつけの居酒屋で月島さんがグラスを突き合わせながら言ってきた 「正直、玉砕したんだと思ってたわ…ちょっと前に休んだ次の日目腫らしてたからよ」 「まあ…そうなんですけど、その後色々あって……」 「執念が実ったわけだな!良かったじゃねえか」 「はい!良かったです…」 「そう言えば月島さんは相手作らないんですか?社内でも人気ですよ?」 菜穂の質問に、月島さんは首を傾げて考え込んだ 「んー、うーん…うちの会社の女達ってやたら群れてるだろ?苦手なんだよなぁ。そういうの」 「女は大体そうですよ」 「いやお前ら二人はずっと二人でいるだろ?あんまり群れに属してないというか」 「女は怖いですからねぇ」 菜穂は笑ってるけど、多分本音だ 「ま、てなわけで社内ではあまりそういうのは求めてねえな」 「好きな人もいないんですか?」 その質問に、少し沈黙した後月島さんは答えた 「……まあ、気になってた奴はいる」 「え!?好きな人いたんですか!?」 「…脈ナシだったけどな」 えっ!? 思わず鼓動が跳ねた 何故なら、月島さんが私の方を見ながらそう言ってきたから… もしかして…いや、そんなわけないよね… 月島さんが私のことを好きだなんて…… 「まああれだ。花井」 「あ、はい!」 「彼氏と仲良くな!」 ……あるわけないか。そんなこと
/549ページ

最初のコメントを投稿しよう!

215人が本棚に入れています
本棚に追加