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私は彼を試すように、そう言った
「風見が……?僕に…?」
…そんな目をしないで…
そんな言葉に、揺らがないで…
「風見が言ったの?」
わかっていたはずなのに…彼の心の真ん中にいるのは、菜穂なんだとーー
彼は私が話すよりも先に言葉を発してくる
「ど、どうして風見がそんな事を?」
嬉しいの?それとも怖いの?
貴方は今どんな気持ちなの?
「…もしかしたら、許してくれる気になったのかも」
「…僕…を?風見が……」
「ねえ翔介さん。以前謝るつもりはないって言ってたよね?
もし、菜穂から翔介さんを許したら…また仲良くするの?もうストーカーはやめるの?」
私との関係は…終わりなの?
それだけは怖くて聞けなかった
「前にも言ったけど、僕の歪みはもう正せない…あの部屋を見てわかっただろう?僕は変われないよ…少なくとも、簡単に変わってはいけないんだ」
「どうしてそこまで自分を歪んだ人間だと思い込むの…?翔介さんは歪んでなんてないよ…少し愛し方を間違えちゃってるだけだよ……」
「…風見に会って、確かめるよ」
「確かめる…って…?」
「僕の中にある、本当の気持ちを…自分がどこまで歪んでるのか…この気持ちがどれだけ深いのか」
「でも私…翔介さんと…離れたくないよ」
縋るように私は言った
そして彼の胸に飛び込んだ
「…佳純、大丈夫だよ」
私を優しく抱き寄せて彼は言った
「僕にとって佳純はもうそんな簡単な存在じゃないよ…今は誰よりも大事なんだ…佳純が」
私は思わず、涙が出てしまった
この人を信じよう…
私は彼の腕の中で、そう決めた
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