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私が幼い頃からお父さんは今の会社で働いていた
割と有名な建築会社で、社内のボウリング大会とかに小さい頃私も何度か参加した
みんなガテン系の人ばっかりでお父さんはその中でも線が細い方だった
だけど皆はお父さんの仕事ぶりを尊敬しているようだった。私はそれがなんだか誇らしかった
そんなお父さんの背中が…大好きだった
私はバカだ
お父さんがそんな重大な怪我を負っている時に、ずっと二人の事を考えていたなんて…
今はそんな事どうでもいいはずなのに…
「お父さん…私、明日から仕事終わりに毎日来るよ」
「…馬鹿、そんな気を遣わなくていいんだよ」
「ううん、お母さん一人でお父さんの世話するの大変だと思うしたまには親孝行しないとね」
「世話なんてされなくても一人で出来るぞ。車椅子があるしな」
「毎日娘の顔が見れるの嬉しいでしょ?」
「もう見飽きてるけどな」
「もう!」
私達はそう笑いながら、心の影を必死で見せないようにした
そして私は恋に浮かれていた自分を戒めるように
翔介さんに連絡を入れた
「お父さんが怪我で看病しないといけないので、暫く会えなくなっちゃった…また落ち着いたら遊びに行きたいな」
少しの間翔介さんとは距離を置く事を決めた
「大丈夫だったの?また落ち着いたら会おう。僕も一度病院に行っていいかな?」
…今のお父さんに、翔介さんを紹介するのはちょっと抵抗がある…
「ううん。多分お父さん人に弱ってる姿見せたくないと思うから…また元気な時に紹介させて」
「わかった。何か力になれることがあったら言ってね」
「ありがとう。また連絡するね」
そう送信したあと、今度は菜穂に電話をかけた
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