起点

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ーーー お昼が近付いてきた頃、私は時計をチラチラと確認する もう少しだ… そう思って佳純の方を見ていると、月島さんが寄って行くのが見えた 「花井。お前最近村井製薬の大貫さんの電話とった?」 「えっ…と……あっ!先週取りました!」 「何か言ってなかったか?」 「来週の面会を一週早めて今日にしてくれないかと言ってました。ちゃんと前野さんにDM飛ばしましたけど…」 「今さっきすげえ剣幕で大貫さんが来たんだよ。前野さんと約束してるってな…前野さん今日出張だからおかしいなと思ったんだよ。お前ちゃんと送信確認したか?」 「え…?」 佳純はパソコンを高速でいじり始めた 周りの皆はピリついた雰囲気でそれを見ている 答えは、案の定だった 「…すみません…送れてませんでした…」 そして全員、一瞬で佳純から目を逸らした これから起こり得ることが目に見えてわかったからだ 「馬鹿野郎!!あれほど送信確認しろって言っただろうが!!」 月島さんの怒鳴り声がオフィス中に響いた 周りの皆はシンとしている 「す、すみません…!」 「すみませんで済むか!!村井製薬さんとの取引無くなったらどうすんだよ!前野さんの責任になるんだぞ!」 「すみません!今すぐ大貫さんに謝ってきます!」 「俺も一緒に行くからすぐ支度しろ!」 「はい!!」 焦りながら大急ぎで佳純が上着を身につけ鞄を手にしている そして私の方をチラッと見て、手を顔の前に出し謝るポーズを見せる 私は苦笑いしながら軽く手を振った  よりにもよって…タイミング悪すぎるなぁー… まあ、流石に…仕方ないか… どうやら一緒には行けそうにないので、仕方なく一人で鳥谷さんに会いに行く事にした 気が重いなぁ… でも約束しておいて勝手に反故にするのはどうかと思うし… お昼のチャイムが鳴る 私は鞄を持ち、重い足取りで彼の元へ向かう決意をした
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