起点

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過去は過去であり続ける その姿形を変える事なく、胸の中に居座り続けるんだ 私はソレと向き合う強さを未だに持てずにいる ただ私が今こうして強くなったと傍目で見て思われてるのだとするのなら、それは佳純がいるからだ 私は佳純に心酔していると言って良いほど、佳純の為ならなんでも出来る気がする だって…こんな弱かった自分を救ってくれた…唯一の人物だから もう佳純は忘れてるかも知れないけどね… 「なんだか暗い話になっちゃったな。ごめん」 「いやこちらこそなんかすみません」 「じゃあ明日仕事が終わったら、テグロフまで来れるかな?」 「分かりました」 「さて、午後からも仕事頑張るために腹拵えしよう!」 「あ、ここのナポリタン有名らしいですよ!!」 「楽しみだね。スーツ汚さないようにしないと」 「子供ですか!」 「そういうところもまだまだ子供なのかも…」 「そこは成長して下さい」 一転して和やかな雰囲気に戻り、私達は食事を済まし別れた ーーー 仕事に戻り2時間程経った頃、佳純が月島さんと帰ってきた 「ただいま戻りました」 「おお、どうだった?月島」 寺尾課長が月島さんに尋ねる 「なんとか丸く収まりました。大貫さんとは結構仲良くさせていただいてるんで助かりましたね」 「ご迷惑お掛けしました…」 佳純は頭を下げたままだった 「お前はもう切り替えていけ!今度から送信確認入念にな!皆も気を付けようぜ!」 全員が頷き、佳純は何度も謝りながら自分のデスクに戻っていった 今は行かない方がいいか… また少し時間が経ち、月島さんが佳純のデスクに歩み寄った 「花井、今日定時で上がれよ」 「えっ…でも…今日は元々残業するつもりでしたし」 「いいから。今日みたいな日は無理したら身体に毒なんだよ。ストレス溜まるだけだろうが」 月島さんが佳純のデスクに缶コーヒーを置きながら言った 「…月島さん」 「今大変なんだと寺尾課長から訊いた。暫く定時で上がるよう申請してたんだろ?今日は怒鳴って悪かった。こっちも仕事だからよぉ」 「いえ、すみませんでした…」 「落ち着いたら飯行こうぜ。な?今日は親父さんとこ行ってやれ」 「…はい。コーヒーありがとうございます」 「おう。あ、親父さんに俺の悪口言うのは禁止だからな」 「言いませんよ!」 流石月島さんだな…佳純が元気になったみたい 「じゃあ菜穂、私先に帰るね」 「うん!おじさんによろしくね」 「今日は明日の食材買いに行くよ。お見舞いは明日にする」 「そっか…ビーフシチュー作らなきゃだもんね」 「うん!じゃあまた明日ね!」 「お疲れ様!また明日!」 …明日か。私も気合い入れなきゃ!!
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