夜鷹の蕎麦屋

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冬の気配が、町の随所に感じられるようになっていた。 けれど、相変わらず至るところに女が立って客引きをしている。 遊廓へ遊びに行ける男どもはまだ、懐事情の良いほうで、そうではない男どもは、町中に立つ女を物色しては、材木置き場や人目に触れない場所で行為をおこなう。 そして、サヨもその女たちの一人だった。 行為をおこなう時に必要なのは呉座一枚で、 女たちにとっては商売道具、肌身離さず持って歩き、丸められた呉座を持つ女は、売りを生業としている目印でもあった。
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