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「うわっ、一体何なの?」思わず、そう言った沙羅の身体は
ふわりと抱えられ、そのまま部屋の中の、自分の椅子に座らされた。
「驚かせてすまない」その声の方を見上げた沙羅は
「あっ」っと言う驚きの声を、飲み込んだ。
2メートル程もある、大きな鳥?獣?いや魔物だっ、沙羅はそう思った。
映画やアニメに出てくる、魔物にそっくりだった。
黒に近い濃い紫色の、長い毛におおわれた体、ライオンとも狼とも違う
恐ろしい顔、切れ長の緑色の目、二本の金色の角、床に届くほどの、大きな翼
腕にも足首にも、太い金色のリングをはめ、人と同じ様な五本の指には
赤や青の煌く石の指輪、腰には、幅広のベルトの様な物が巻かれ
その左側には、細身の剣のような物が下げられていた。
ベルトも剣も、色とりどりのスワロフスキーの様な、光る石で
見事な装飾が施されていて、部屋の灯りに、キラキラと光り輝いている。
ずいぶん豪華な魔物だった。
これは悪魔だ、神様に見放されたから、悪魔がやって来たんだ。
でも、そんな事って、あり得ないよね、きっと夢を見ているんだわ。
沙羅は、夢だと思う事にした、夢なら、何も怖くない。
悪魔は、一匹では無かった、真っ白な体に銀色の角を持つ者
更にもう一匹、カラスの様に真っ黒な体で、金色と銀色の角を持つ者
二匹とも、同じ様に腰にはベルトを巻き、剣を下げ、腕輪や指輪等で
体を飾っていたが、肩から斜め掛けに、白い袋を下げている。
それは、恐ろしい顔と豪華な体には、どうにも似合わない格好だった。
このスタイルは笑える、夢だと思っている所為か、初めの恐ろしさは消え
沙羅の心は落ち着いて来た、どうせ夢だもの、夢でなくったって
今の私には、怖い物など何も無い。
白い悪魔が言った「我々は、貴方様にお願いが有ってやって来ました」
そら来た、どうせ肉体を呉れとか、魂をよこせと言うんでしょ。
それにしても、悪魔って日本語が喋れるのね、あっ夢だものね~
そんな事は、どうでも良いわ、だんだん沙羅は考えるのが面倒になった。
「お願いって、何?」ぶっきらぼうな口調で言ったが
話を聞いてくれると知った三匹は、嬉しそうな顔になった。
悪魔だけど、何だか憎めないわね、沙羅はそう思う。
白い悪魔は「我々は、この星より、遥か遠くのカディアと言う星から
やって来ました、こちらが」と、金色角の前に手を伸ばし
「我が国の王、フィル様、あちらが」と、黒色悪魔の方に手を伸ばし
「ギリー、私は、ホーリックと申します」三匹は、深々と頭を下げた。
何とも、礼儀正しい悪魔、いやカディアの方々、思わず
「あ、私は沙羅よ」と、言ってしまって思う。
悪魔の王が来るなんて、よっぽど重大な願いじゃない?
それに、夢だ夢だと思っているけど、リアルすぎるわ
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