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雨の止んだ午後三時、訪問者の顔にエミリオとケイは顔を見合わせた。 「……何ですか、幽霊でも見たみたいな顔して」 ハリーの不満そうな声に、二人は慌てる。 「いやっ、チーフならさっき出て行ったところだよ」 「いえ、違います。今日は借りてた調査報告書を返しに」 言いながら彼はあたりを見回す。焦っている様子もない。 「それなら私が」 ファイルを受け取ったケイは平静を装う。 「急いでるんじゃないの?」 きょとんとしているハリーは、数秒遅れて答えた。 「いえ、別に。――誰か呼んでました?」 「何でもないの、気にしないで」 ケイは慌てて取り繕った。
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