12人が本棚に入れています
本棚に追加
雨の止んだ午後三時、訪問者の顔にエミリオとケイは顔を見合わせた。
「……何ですか、幽霊でも見たみたいな顔して」
ハリーの不満そうな声に、二人は慌てる。
「いやっ、チーフならさっき出て行ったところだよ」
「いえ、違います。今日は借りてた調査報告書を返しに」
言いながら彼はあたりを見回す。焦っている様子もない。
「それなら私が」
ファイルを受け取ったケイは平静を装う。
「急いでるんじゃないの?」
きょとんとしているハリーは、数秒遅れて答えた。
「いえ、別に。――誰か呼んでました?」
「何でもないの、気にしないで」
ケイは慌てて取り繕った。
最初のコメントを投稿しよう!