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「アルコール類は見つかったか?」
車から身を引いて振り返るベンジャミンに、検死官は淡々と首を振った。
「ここにはなさそうだ。ラボに持ち帰って再度検査してもらうけど、おそらく飲酒運転による事故だろう」
その末、雑木林に突っ込んだということだ。
ベンジャミンは車だったものに、物憂げな目をくれた。
傍らで検死医は、何でもないような声で言った。
「幸い、遺体はきれいな状態だし、解剖から飲酒していたかどうかはわかるだろう」
外傷が見られるのは頭部付近だが、顔も至ってきれいなものでそれ以外はほとんど損傷がない。フロントガラスから枝木が刺さっている状態から見ても、相当なスピードで突っ込んできたことは間違いないので、不幸中の幸いと言ったところだろう。
「飲んでいた場所の裏を取る必要があるな」
独り言ちて、検死医の肩をぽんと叩く。
言葉をかけるよりも早く、彼は来たばかりの緩やかな坂を上っていった。
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