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優しく微笑んで小声で囁いた。その、温かくて柔らかい笑顔にあたしは少し勇気をもらった。
「あのね、ママ。香織ちゃんとこでたくさんおしゃべりしてたらこんなに遅くなっちゃったの。うん、ごめんなさい、連絡もしてなくて。大丈夫だから、うん。今駅で、これから直ぐ電車乗って、10時にはお家に着くから……」
あたしが、一生懸命ママに説明してる間、緒方さんは優しく見守ってくれていた。
おしゃれなショート丈のダッフルコートから伸びたジーンズの足が、すごく長い。遼ちゃんもオシャレだけど。緒方さんは細身スタイルで、遼ちゃんとは雰囲気が違う。
8頭身……? かな。
気を付けて帰ってくるのよ、っていうママの言葉を聞いて電話を切りながら、あたしは思わず緒方さんに見惚れてしまっていた自分を消す為にプルプルと頭を振った。
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