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混迷
不覚にも意識を手放し倒れていた。
あれに襲われた瞬間、足払いを受け背中を強く打ち付け気を失った。ボヤける目で辺りを見渡すも聡さんは居ない。
立ち上がり洋服の汚れを叩きながら考えるが、行き先に思い当たる場所が無い…。
一方聡は、荷物が積み上げられた脇で目を覚ますが、体が動かない?金縛りか!?
あれに包み込まれてから記憶が無い…。
ふと頭の中に〔ドーン、ドーン、カッカッカッ、ドンドンドン、カッカッ〕と太鼓の音が鳴り響き、山車を引く太いロープを握る小さな手が見える。
今度はプールで遊ぶシーンに変わり、近くに大きな川と大きな帆船が見える。
次に駄菓子屋だろうか、店先に置いた鉄板が嵌め込まれたテーブルで、おばちゃんがもんじゃを焼いている。
目線が急に高くなり、海の中に砲台跡地があり、若い人達が周りにたくさん居る。
次から次へとシーンが移り変わり困惑する。
体育館だろうか、制服を着た生徒達が《♪~ここ三中に寄り集う、若いわれら~♪》と校歌斉唱している。
もしかして、あれの記憶を見せられているのか?
急に場面が変わりビルの中、強い揺れで凄く恐怖を感じ逃げる…!!。
場面が暗転した!?周りの音が聞こえ始め手を動かす事ができるようになった。
夢から覚めたのか?上半身を起こし周りを見渡す。
ここは何処だ!?
見覚えのある建物が遠くに見え、晴海埠頭の一角のように思える。
長谷川さんはどうなったのだろうか?
無事なのか!?不安がよぎる…。
大きく深呼吸をして、気持ちを落ち着かせ状況を整理する。
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