必然

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必然

翌週末土曜日に時間が取れるので長谷川さんに連絡を入れ、都合を伺いお会いする事になった。 待ち合わせ場所は某駅前にある喫茶ルミエールで、午後2時頃と指定を受ける。 店内に入るとにこやかに笑う長谷川さんと目が合い、会釈しながら歩み寄り席に着く。 「先日はホームで突然に申し訳ございませんでした」と謝ると、「いやいや私は全然構わないですよ」と更に破顔になってくれる。 エアコンが程好く効いた店内は、静かなBGMが流れとても居心地が良い。 長谷川さんから「あれから夢でまた見たりしましたか?」と問われ、「一度きりでその後はありません」と答えると、「それは良かった、あの日厄を祓っておいたからね」と言われる。 私は驚き「それはどう言うことですか!?」と少し声が大きくなってしまい、他の御客から視線を浴び恥ずかしい。 「感受性が高く惹かれているように思えたので、あの日に念じておいたので」と伺う。 どう言う事か理解出来ないでいると、「私は困っている方や悩んでいる方の相談を受け、可能な限り手助けしてます」と言われ、更に「間々井香取神社の傍に住んでいるとこの前話しましたが、当時この地には小松川16軒の農家しかなく、この農家が神社を創立したと言われていて、その頃私の先祖が農家の依頼で神社に関わったと我が家で語り継がれている」との事でした。 だからあの日「時間がある時会いましょう」と長谷川さんが言ってくれたのか。 やはりこの縁は必然だったと納得、有難い。 「あの事故を起こした原因を調べてますが、まだはっきり分からず時間が掛かります」と言われたので、「協力できる事があれば何でもご指示ください」と、頭を下げながら懇願(こんがん)する。 長谷川さんから「今はまだ大丈夫ですから、もし気になる事があれば何でも連絡ください。協力して欲しい時は遠慮なくお願いします」と握手を交わし別れた。
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