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下町
某駅ホームドア設置工事が完了し利用が始まった。また、駅舎も乗客の流れや安全確認をしやすくする改良工事が進んでいる。
ホームドア利用から3ヶ月経過したが、抑止効果で投身自殺が起きていない。
そんなある日、長谷川さんから連絡が入り喫茶ルミエールへ向かう。
「連絡したのは某駅ホームで数日監視してたら、あれの存在が感じられなくなりました。無事浄化したのでは無く、他の場所に移ったのかも知れなく不安を感じています。これから時間が空いていれば、ちょっと気になる場所があるので付き合って貰えますか?」と頼まれた。
「はい、大丈夫です」と頷く。
早速、某駅から快速線に乗り次の駅で降車。改札を出て地下鉄に乗り換え〔勝どき駅〕へ向かいます。
勝鬨橋の橋台近くにある小学校は長谷川さんの母校で、橋の中央が開くのを在校時に数回見たそうです。
「この橋の上流に佃大橋がありますが、子供の頃は橋がまだ無く渡し舟に乗って対岸に渡った」と、懐かしそうに話されました。
タワーマンションが林立する今の中央区では、まったく想像出来ない話です。
西仲通りを歩きながら「月島もんじゃストリートと呼ばれるこの商店街には、子供の頃もんじゃ屋さんは〔いろは〕と〔かぶき〕の2軒しかなく、お味噌を計り売りする店があったので、母親からよくお使いを頼まれ買いに来たものです」と伺う。
下町情緒を味わえる西仲通りを散策すると心が本当に安らぐ感じです。
西仲通りを右に折れ、清澄通り越え橋を渡ると高校と中学校がある。
その先に見える運動場が、長谷川さんが気になる場所で、あれを監視している時この場所のイメージが浮かんだそうです。
何故、ここだったのか!?
目を瞑り頭を垂れ集中する長谷川さん。
邪魔をしないよう静かに待つ。
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