例祭

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例祭

下町情緒溢れるこの地では、三年に一度本祭りが四日間開催される。 初日は佃島、月一、月二、月三、月四、勝どきと各町内神輿が〔大・中・小〕と有り、一堂に会する連合が組まれ全町内を練り歩く。 二日目と三日目、佃島の住吉神社には中央区区民有形民俗文化財に指定された〔八角神輿〕があり、各町内神輿とは別に持ち回りとなり、勝どきの住吉神社分社へ渡り、その後各町内へと順序渡され佃島へ戻る。 豪華絢爛な八角神輿には神輿好きが集まり、担ぎ手200人、取り巻き数百人など当たり前でまさに圧巻。 「せいやっ!、せいやっ!そいやっ!、そいやっ!、おりゃっ!、おりゃっ!」威勢の良い掛け声が乱舞する。 見守る町人や観衆から、神輿や担ぎ手に水を浴びせて貰いながら町内を練り歩く。 八角神輿は町内半纏を着ないと担げなく、神輿会を名乗る輩が勝手に潜り込み揉める事がある。 中には町内会に祝酒を持参し礼を尽くし町内半纏を借りる神輿会の連中も居るので一概に悪くはない。 それらも本祭りの風物詩の一つである。 次の町内へ八角神輿を引き渡す時、威勢よく神輿を上下に揉み、最後は高々と差し上げ担ぎ棒を掌で打ち鳴らした後に台座へ静かに置く。 観衆から盛大な拍手が沸き起こり担ぎ手達を労う。 気持ちいい疲れである。 そんな夜、酒を飲み騒ぐ若者達が近くの川へ次々飛び込む。 何度か繰り返す一人が、上がって来なくても酔っ払った連中は気が付かない!? ざわざわ…、ざわざわ…、黒い靄が欄干の近くで蠢いている…。 翌朝、川に係留された小舟の傍で遺体が発見され飲酒による溺死と報道された。 あれが居たのを誰も知らない。 バカ騒ぎしなければ良かったのに…。 本祭り最終日は、各町内で神輿が練り歩き幕を閉じる。
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