向き合うことを恐れないで

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「すっ……げぇーーー!」 「今のって、スピニングリフト?めちゃめちゃカッコ良かった!」 「おにーさん、サッカー選手なの!?」 男の子達が、興奮気味に駆け寄ってきて、先輩は困ったように笑い返す。 「あはは、サッカー選手って! ちげーよ、お前らよりちょっと先輩なだけ! リフトアップも練習すればすぐ出来るようになるよ」 「マジかー!ねぇ、ちょっと教えてよ!」 それいい!混ざって混ざって!と口々に言い出して盛り上がる男の子達。 「いやいや、おにーさん今デート中だから……」 卯木先輩はそう言うと、ちらりと私に視線を投げ掛けてきた。 「えっ!」「デート?」「カノジョ!?」 つられるように興味津々な視線が一気に集中して、私はシャキッと背筋を伸ばした。 デ、デ、デート……!え、デートなの? これデートでいいんですか……!? 動揺を隠せない私に向かって、先輩が「響~!」と呼び掛ける。 「ごめん、時間平気?10分だけいい?」 「あ、はいっ、ごゆっくり……!」 顔の前に片手を立ててお願いのポーズをされたら、断るわけない! ……というよりも…… 卯木先輩が、こんな当たり前のようにサッカーに触れるとは思いもしなくて、少し拍子抜けしてしまった。 もしかしたら、さっきの女の子達の話は噂に過ぎなくて、怪我なんて本当はしていないのかもしれない。 全部、私の早とちりかもしれない。 そう思ってしまうくらい、 少年達の和の中でボールを操る先輩は、生き生きとしていて楽しそうだった。
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