第6章 二人の魔神狩人

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第6章 二人の魔神狩人

 少女がひとり、町の門の前に佇んでいた。  肩までの栗色の髪に、明るい紺色の目。  動きやすそうな旅の衣装を身につけ、腰には剣を差している。  一見、華奢な少年のようにも見えたが、軽く束ねた髪に差した花の飾りが、年頃の若い娘であることを示していた。  そして、少女の傍らには、一匹の黒い大型犬。  うずくまったその犬は、金色の目で少女をじっと見上げている。  少女は、腰の剣を鞘からわずかに抜いた。  透明な剣身が、光をぼうっと放っている。半分はオレンジがかった金色に、そしてもう半分は、青味がかった銀色に光っていた。  少女は、背後を不安げに振り返る。  その先には、古代の遺跡が建っている丘があった。  剣を抜いてかざすと、丘があるほうが金色に、町のあるほうが銀色に、真ん中で分かれて淡い光を放つ。 「魔神とアヌヴィムか」  少女は、犬のリードを握りしめた手に、ぎゅっと力をこめる。 「魔神族はおいといて、今はこっち」  少女は剣を鞘に収め、町のほうを向く。 「ユードを探さないとね」  少女は呟いて、犬の背中を撫でた。
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