第6章 二人の魔神狩人

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 セレウスが出て行った後、七都は地面に腰を下ろした。  蝶たちは、七都の頭やマントを休憩所にしているようだ。ひらひらと舞っては七都にとまり、また花の間を飛び回る。  眠い……。  七都は、気だるい眠気を感じた。  この蝶たちにたかられると、眠くなるのかもしれない。  それとも、ここの太陽から開放された場所にいるために、気が緩んで疲れが出てきたのか。  七都は、目を閉じる。  静かだ。  今まであったことは、現実のことなのだろうか?  扉の向こう側にあったこの世界や、これまでに出会った沢山の人たちは、本当に存在するのか?  やっぱり、夢じゃないのだろうか。最初から、ずうっと夢を見ていただけなのでは……。  期末テストが終わって、気が抜けて、自分の部屋のベッドで寝転んで見ている、長い夢。  実は、本当はそうなのかもしれない。七都は思ってみる。  でも、遠い。自分の家も部屋も、遠い遠い彼方に、かろうじて存在しているような気がする。  果林さん、心配してるかな。  元の世界では、どれくらい時間がたっているのだろう。  二つの世界の時間の流れが同じなら、果林さんは、もうとうに帰っているはずだ。  靴もないし、どこかに出かけたと思うだろうか。  果林さんの顔を思い描いてみようとしたが、それはぼやけていた。  このままこの世界に長い間いたら、ますます思い出せなくなってしまいそうな不安を、七都は微かに覚えた。  眠い。  体から力が抜ける。  七都は、虹色のカトゥース畑の中で、横になった。  透明な蝶たちが、薄青い光の中をふわふわ飛び交う――。
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