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「……仕事中だぞ?」
「ちょっとだけ」
「……仕方ないな」
真崎の指に力がこもる。
栞は真崎を見上げ、満ち足りたように笑む。
一緒に暮らすのはまだ少し先になるかもしれない。新婚旅行もいつになるやらわからない。
しかし、こんな風に同じ仕事に関わることができることが嬉しくてならない。
これが、自分たちの今現在の幸せのカタチ──。
「これも……ご褒美なのかな」
栞がポツンと呟くと、真崎が不思議そうに顔を覗き込んでくる。
「今、こうやって慎ちゃんの隣にいるのは、神様からのご褒美なのかなって」
すると、真崎も感慨深げに上を向いた。
「そうなのかもな。お前が離れてからも、ずっと忘れられなかった。それなら、このまま一人でもいいかと思っていた。……そんな風に諦めの悪い俺に、しょうがない奴だと施しを与えてくれたのかもしれない」
「……それ、私も同じだよ」
それはまさしく、栞自身のことだった。
「しょうがない二人だなって思ってもらえたんだね、きっと」
栞が笑うと、真崎も笑った。これからも、こんな風に笑いあって共に生きていきたい。
「……好き」
「だから、仕事中だって!」
つい大きくなってしまった声に、真崎がしまったという顔をする。それを見て、栞は肩を震わせた。
「慎ちゃん、面白すぎ」
「誰のせいだよ」
「……私」
「わかってるなら、笑うな」
まだほんの幼い頃から、恋なんて知らない頃から、ずっと想っていた。
一度は壊れてしまったけれど、恋焦がれた男性にもう一度会えた。
二度目は間違わない。間違えたりしない。
絡めた指に力を込め、栞は胸に秘めた想いを噛みしめつつ、真崎を見つめる。
再びあなたに、焦がれる恋をした。
二度目の恋は──絶対にもう、離さない。
■セカンドラブ 了
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