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「栞ちゃん」
「なに?」
「トークのコーナーじゃ、絶対CMのこと聞かれると思うんだけど」
「そうだね」
『焦がれる相手を振り向かせる』これがCM第二弾のコンセプトだ。焦がれる相手はいますか、などの質問は当然出てくるだろう。
「栞ちゃんのこと、話してもいい?」
「え!?」
「私自身、焦がれる相手はまだいないしさ。でもそれじゃ、話が繋がらなくて面白くないから」
「いや、でも!」
芽衣はニッと悪戯っぽく笑う。
「マネージャーがずっと焦がれていた相手を振り向かせましたよって! これ、強烈なインパクトじゃない? 実際にCMもそういうストーリー仕立てになってるし」
「でも私、『KIRISHIMA』の製品使ってた訳じゃないし……」
「やだな、栞ちゃん! 今は使ってるくせにっ!」
栞は目を丸くする。いつの間に知られたのだろうか。
栞の反応を見て、芽衣が身を乗り出してくる。
「芽衣さんの観察眼を舐めないでよー。栞ちゃんのメイクポーチに『KIRISHIMA』のファンデとリップが入ってたの、目撃してるんだから!」
「目ざとい……」
確かに、これまでは別のメーカーのものを使っていた。しかし、CMの仕事で関わることになり、再び真崎との縁を繋げてくれたこともあり、そして、これからの人生を共にする大切なパートナーの勤め先でもある訳で。
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