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「ほ、ほ、本当ですかっ!」
「嘘ついてもしょうがないでしょ?」
「それもそうですけど! ……でも、信じられない」
興奮状態の栞を見て、芸能事務所『オフィスM』社長・森川麻沙美は、呆れつつも頬を緩める。
最初ここにやってきた時、日向栞はまだ十五で、あどけない笑顔が可愛らしい少女だった。
アイドルとしてデビューし、紆余曲折を経た後、芸能界を引退。彼女はマネージャーとして新たなスタートを切った。
ひよっこだった彼女が様々な苦労と経験を積み重ね、やっとここまできたことをよく知る麻沙美は、今や栞のもう一人の親ともいえる存在になっていた。
「信じられないってそんな……。芽衣のことを一番買ってるのはあんたでしょうが」
「そうなんですけど! まさかこんな大きな仕事が来るなんて……!!」
「まぁ、あんたが信じられないっていう気持ちもわかるけどね。私も驚いたし。何せ『KIRISHIMA』のCMで、あの佐野友梨佳の後だっていうんだから」
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