突然の再会

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『それじゃ、俺の予定はメールしておくから』  真崎の言葉に、栞は「うん」と返事をする。  桐島との食事は気が重いが、真崎も一緒なら楽しみにさえなってくる。現金な自分に呆れながら、栞は携帯を握りしめ、そっと囁いた。 「ありがとう、慎ちゃん。……おやすみなさい」 『あぁ。じゃあ、またな。おやすみ』  そして、呆気なく通話が切れる。もう少し余韻に浸りたかったのになぁ、と思いつつ、真崎らしいと笑みが零れてくる。  栞はしばらく携帯を見つめ、幸せ気分を堪能する。その後、PCに向かい、真崎への今日のお礼のメールを書いて送信した。  桐島への連絡は、ひとまず保留だ。真崎とスケジュールを合わせてから返事をすることにする。  栞は明日のスケジュールを確認し、芽衣にメッセージで迎えに行く時間を連絡する。芽衣にしては珍しく、すぐに了解の返信がきた。  おそらく、まだ気持ちが高ぶって興奮状態なのだろう。明日の仕事のためにもそろそろ寝てほしいところだが、人のことは言えない。栞もおそらくすぐには眠れない。 「でも、寝なきゃ!」  マネージャーが寝坊をする訳にはいかない。  栞は諸々片付けを済ませた後、ベッドに入る。いまだ高鳴る胸の鼓動を落ち着けるように、部屋を真っ暗にし、ぎゅっと瞳を閉じた。
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