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芽衣はメールやメッセージをマメに確認する方ではない。そして、確認してもすぐに返信してこないことが多い。
連絡はマメに確認しろ、確認したらすぐに連絡! と口を酸っぱくして言っているのだが、右から左に抜けていく。これは友人と遊ぶなどといった場合でも同じなのだから、芽衣の性格なのだろう。
しかし、さすがに今回は早かった。おそらく最速記録だ。
栞は笑みを浮かべながら、芽衣からのメッセージを確認した。
『嘘でしょ? ほんと? 嘘だぁ!』
芽衣でさえ、にわかには信じられないらしい。栞はクスクスと笑いながら、芽衣に電話をかけた。
『もしもし、栞ちゃん!?』
「何よ、あのメッセージは」
芽衣の慌てぶりがこちらにまで伝わってきて、栞は呆れつつも笑いが止まらない。
『だ、だって! だって、あの『KIRISHIMA』だよ? 佐野友梨佳がやってるやつでしょ? それを私が?』
まぁ、栞も麻沙美から聞いた時は同じような反応だったのだ。芽衣のこの反応も無理はない。
栞は芽衣を落ち着かせ、噛みしめるように告げた。
「本当よ。さっき資料も届いた。……おめでとう、芽衣」
『ほんと……なの? やだ……どうしよう。嬉しい……』
「嬉しいなら、もっと喜びなさいよ!」
『だって! もう訳わかんなくてぼーっとしちゃってるんだって! どうしよう栞ちゃん、嬉しいっ!!』
やっと元気ないつもどおりの芽衣になり、栞の顔も満面の笑みとなる。
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