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「おっや~、また寝ているんですね! この不良!」
だったのは、三日前までだ。
突如現れたソイツは扉を開けるわけでも窓を開けるわけでもなく、どこから入ってきたのか問いたいくらいしれっといつのまにか存在している。
少年は閉じていた瞳をゆっくりと開ける。そうすると、目の前にその存在がドアップで待ち構えていた。存在が鬱陶しい。
「あ、起きましたか。全く、寝不足はダメですよ」
「……煩い。頭に響く」
全体的に黒い服装でジャケットを羽織り、長ズボンを着ている。黒い帽子から覗く艶のある黒の短髪が、深い青色の瞳を引き立たせる。十から十二ほどの子供の甲高い声が頭によく響く。
その見た目だけで純日本人ではないとわかる子供に少年は身体を起き上がらせ、しっしっと手を振る。
「ヒドイですね。せっかく起こしてあげたのに」
「何がせっかくだ。おせっかいだ、おせっかい。てか、どこから来た」
「あ、それ聞きます? 実は、ドラゴンが暴れる世界から……」
「やっぱ、いい。興味ない」
子供のとても現実とは思えない話が始まりそうだったので、少年はそうそうに切り上げた。また、この子供のせいで不快な気分で起きる破目になった。
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