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そうして、法要の一切が無事、成満した。
薙は、見事に《導師》の大役を果たし、より一層、首座としての力量を増した様に見える。
…見事だった。
《神子》は、行の天才だと聞くが、僅か百日の修行で、ここまで完璧に修法の一切を身に付けるとは──
経文も作法も一度も間違えず、雑多な霊群まで一辺に供養を施した薙。行者の高みに向かって、仏の境涯を難なく極めて往く。
『器』が違うのだ。
同じ『当主』でも、俺達と薙とでは『格』が違い過ぎる。
手を伸ばしても届かない、天上の星を追うような恋だ。それでも、まだ──俺に『勝機』はあるのだろうか?
僅かでも可能性があるなら、それに全てを賭けてみたい。大岩に当たって砕ける、波の様に。
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