二段目。-再会side-

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それから、一時間後──。 宴も(たけなわ)な大広間では、飲み過ぎてリタイアする者が、ぼちぼち現れ始めていた。 真っ先に酔い潰れたのは、《土の星》の当主──向坂紫(さきさかゆかり)である。可愛い顔をして腹黒な紫は、頭は良いが酒はカラっきしだった。 こいつも薙に気があるらしく、事有る毎に気を惹こうとしている。しかし、肝心の薙が色恋沙汰に(うと)い為、その企みは、(ことごと)く失敗に終わっていた。 今日も結局、薙より先に潰れてしまった紫は、北天の向坂隆臣(さきさかたかおみ)に担がれて早々に退座してしまう。打算的な男だが、こういうところが憎めない。 片や。酔ってくだを巻く大人達を他所に、年少組の当主達──《木の星》の蔡場篝(さいばかがり)、《風の星》の神崎瑠威(かんざきるい)と瑠佳──は、冷静だった。オヤジ共の醜態に呆れ果て、巻き込まれる前に、さっさと退座してしまう。 現役中高生の彼等が、『大人の世界』の洗礼を受けるのは、まだまだ先の話だ。
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