二段目。-再会side-

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 蒼摩が去った後。 薙は小さく息を吐いて、寂しそうに肩を落とした。へたりと座台に座り込み、 盃の縁に唇を付ける。  浮かない顔だ。 少し退屈しているのかも知れない。 ──誘うなら、今だ。 勇気を振り絞って立ち上がると、 俺は上座へと歩を進めた。 「薙。」 「…烈火。」 「疲れたか?」 「うん、ちょっとね。」 「じゃあ、さ。ちょっと散歩しようぜ?気分転換にさ。」  そう言うと… 薙は、小さく肩を竦めて笑った。 「賛成。もう、お酒はいいや。散歩に行く。」  にこりと笑うと、薙は座台を降りて 俺の後について来る。 外は、 眩しい程の春の光に包まれていた。 のんびりとした午後の空の下── 陽射しを浴びた広大な庭園は、 暖かなそよ風に吹かれている。 「あの辺りの梅は、そろそろ咲きそうだな。」 そう言って指差すと、 『何処?』と薙が覗き込んで来る。 「あっちだよ…ほら。松林の手前。」 「あ、本当だ。蕾が赤くなってるね。」  微笑みを交わし合う俺達の間には、 春の陽と同じ、暖かな空気が満ちていた。 幸せな時間── こんな日々が、明日もこの先も… ずっと続けばいいのに。
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