二段目。-再会side-

106/113
前へ
/218ページ
次へ
 サァァァ─── 二人の間を、生暖かい春の風が吹き抜けて行った、吹き上げられた冬枯れの木の葉が、ひらひらと舞い降りて池の表面に着水する。  ポチャン。 一際大きな水音を立てて鯉が跳ねた。 忽ち水面に、波紋が拡がる。 それは薙の心を、そのまま反映している様に思えた。 「薙、お前の答えは?」 「…答え…」 「遠慮しなくていい。お前の正直な気持ちが知りたいんだ。言ってくれ。でないと俺は、いつまでもどっち付かずのままだ。」 「烈火…」 「俺は期待してもいいのか? それとも全く見込みが無いのか…どっちだ?」 「──。」  薙は、とうとう目を伏せてしまった。 迷う様な、躊躇(ためら)う様な眼差しが、池の水面(みなも)に向けられる。 性急に迫る俺に、戸惑いを隠せない薙。 一体、何をしているのか、俺は? こんな風に追い詰めて…ただ、薙を困らせているだけではないのか?  だけどそれでも、訊かずにはいられない。 「はっきり言えないのか。それが、お前の『答え』なのか?」 「…それは…」
/218ページ

最初のコメントを投稿しよう!

233人が本棚に入れています
本棚に追加