二段目。-再会side-

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 その時だった── 「薙!」 不意に、太鼓橋の向こう側から低い声が飛び、俺達は同時に顔を上げる。驚いて視線を巡らせたそこには、良く知る男が立っていた。 目の醒める様な群青の着物。 蒼灰色の袴を、見事に着こなす長身。 黒髪のその男は、俺と薙を見比べる様に眺めて言った。 「ここに居たのか。探したぞ。」 「一慶(いっけい)…」  奴の姿を目にした途端。薙は、僅かに身を乗り出した。一慶を見詰めるその瞳には、明らかな安堵と、熱く秘めた思慕の色とが混在している。 俺には、決して向けられる事の無い表情だ。 薙が、無意識に求めている男が誰なのか──否が応にも思い知らされる。
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