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強引に細い手首を取れば、案の定…珠里の指先が朱に染まっていた。
白い肌に、とめどなく流れ出る血液。
俺は、迷わずそれを口に含む。
途端に、鉄の様な味が口中に拡がった。
「………。」
珠里は、耳まで顔を赤くして、じっと羞恥に耐えている。この表情が堪らなく見たくて…俺は近頃、こんな些細な悪戯を繰り返していた。
暫しの沈黙の後──
俺はわざと凄味を利かせて、珠里を睨み付ける。
「ドジ。」
「はい、すみません…」
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