二段目。-再会side-

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二段目。-再会side-

《1》好みの女。 ──海江田道虚との『行比べ』から、凡そ三週間程が過ぎた。 六星一座に入門を許された孤独な山行者は、首座である甲本薙の命令に従い、《火の星》の正式な門人となった。 毎日の読経修練に励む傍ら、北天部で六星体術を習っている。若い頃に空手を習っていたとかで、年齢(とし)の割には上達が早い。 掃除や片付けなどの下座行(げざぎょう)にも努め、仲間とも上手くやっているようだった。 ──片や。 ダメ北天の雨城悠希は、首座に対して、数々の無礼を働いた(とが)で、二週間の懺悔行(ざんげぎょう)を課せられている。 山奥の堂に篭もり、不眠不休で読経して、滝に打たれて、また読経…という、ハードな修練だ。身から出た錆でしか無いので、同情の余地は全く無い。 俺は、と言えば── 薙とのドライブデート以来、夜もろくに眠れずにいた。 薙の事を想う度、『あの男』の顔がチラついて、何やらモヤモヤした気分になるのだ。
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