228人が本棚に入れています
本棚に追加
/218ページ
Epilogue─エピローグ─
ガシャ────ン!!
「きゃあぁぁぁあっ!」
厨房に、食器が割れる音と、衣を裂く様な悲鳴が、同時に響き渡る。
「お皿が!古九谷の絵皿が──!!」
あぁ…またか…。
高価な染め付けの大絵皿が、木っ端微塵だ。
繰り返される暴挙に、俺は、痛む眉間を抑えながら言った。
「おい、珠里。それ、お袋のお気に入りの皿だぜ。」
「えぇ!? 本当ですか、烈火さん!?」
「本当本当。怒られるぞ、お前。」
「どっ…どうしましょう~?!」
顔面蒼白の珠里が、割れた皿の破片に手を延べる──すると。
「痛──っ!」
小さく叫んで、不意に背を向けた。
いつか見たな、この光景。
既視感に捉われながら、俺は珠里の肩に手を掛ける。
「見せろ。」
「あ…だ、大丈夫です。」
「いいから見せろって!!」
最初のコメントを投稿しよう!