悪役令嬢への未来を阻止〜〜人生のやり直し〜〜

1/30
前へ
/30ページ
次へ
 私の名前はマリア・ジョセフィーヌ。  この国の始祖を築いた由緒正しい五大貴族の末裔であり、男児のいない我が家では私が次期当主よ。  次期当主として、学業に励み、有能な人間を私の傘下に入れて、富をさらに築く。  今日もそんなことを夢見ながら寝たら、摩訶不思議な場所へと誘われた。  周りは真っ黒でほとんど見えない。  ほとんどというのは見える物もあるから。  そう、白い口とそこから覗く歯だけだ。 「会えてよかった」  白い口は喋り始める。  異様な光景だ。  き、キモい。  何ですの、あなたは? 「いきなり、これか。まあ、この時の君はそんな感じだよね」  勝手に失望して、勝手に納得する。  失礼な口だ。  あなたは目よりも口が物を言うのね。 「君には今この空間と僕はどう見えてる?」  見渡す限りの暗闇と明らかに浮いている口。  自分の姿すら暗闇のせいで見えない。  真っ暗よ!  そして白い口!  明かりくらいないの!  その言葉に白い口は口を閉ざす。  何かを話そうとしてまた閉じる。  焦ったい。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

64人が本棚に入れています
本棚に追加