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「証拠もないのに? それこそ反感を買う。例えそんなことをしても君は助からない。もう未来へ進み始めているんだ。君が死ぬ未来へ」
そっちこそ証拠はどこにあるのよ!
あるなら出しなさいよ。
白い歯は黙る。
何も喋らない。
ほら、やっぱり嘘じゃない!
「今の君は本当に救いようがないな。しょうがない、これはサービスだよ。未来の一部分だけ教えてあげる。まず、今日、君のロッカーに手紙が届く。まあ、これどおりすると多少良くなるから無視しないように」
て、手紙?
誰からよ!
「それは言えない。ごめんだけど今話している事もギリギリなんだ。質問は答えないよ」
黙るしかなかった。
もし今日それが起きなければ嘘って事だから、真偽の判定は簡単だ。
「一ヶ月後、噂を聞く。嫌な噂だ。その三ヶ月後、家に大量のヤギの頭が送られる。そしてさらに三ヶ月後、家は貴族としての地位を落とされる。さらに二ヶ月後、君は学校に居られなくなる。一ヶ月後、領民から苦情や罵詈雑言が飛びかけられる。
そこから三ヶ月後、家に火が点けられる。おまけに最後の二日間だけ見せてあげよう」
そう言うと、その空間が変わる。
いつもの見慣れた我が家。
青い屋根の屋敷が映る。
庭園には赤い薔薇がいつも咲いているが、その光景では無残にも枯れている。
それは長い間放置されているようだった。
何これ?
私の大好きな庭がどうして?
たくさんの使用人が庭の手入れを欠かさずにするのに。
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