お金貸して下さい

4/6
159人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
「あの…」ってか細い声。 どうしました?って傍にいくと、 「あの、飲み物ほしいんだけど、お金が無くて… 必ず返すので、お金を貸してもらえないですか?」 って何度も言ってきたんです。 何度も言ってきて、繰り返しているうちに泣き出してしまって、 「お金ないから家族に電話も出来なくて。 電話もしたいんです、電話するお金でもいいんで貸してもらえないです  か…。」 と、もう泣きじゃくりながら言ってきました。 それ見てたらもう切なくなってしまって… 多分、緊急入院になってしまった時点で 自分の病状が進行していると気づき、 それだけでも不安で押し潰れそうだったんだと思う。 こんなお願いなんてしたくなかった、と言わんばかりに 廊下で泣き崩れてしまって 肩を貸してさすりながら病室に戻ったのを覚えています。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!