おかしな二人

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おかしな二人

そして、現在に至るのだ。 何故か、この如月蒼葉に絡まれてから、僕の平穏な高校生活が踏み荒らされる日々、数日が過ぎた。 スピード破局からの猛ダッシュして、美術室に殴り込みにきたかと思えば、髪をちょっとだけ切るように言う。如月蒼葉とは、僕にとっての“我が儘な姫さん”なわけだ。僕と彼女は、スピード友だちに、なったわけなのだ。 しかも、変なことに“20センチほど秘密の友達”といえば、そうなのだろう。 同じ学校の同級生ってことくらいだろう。出身中学も第1中学と、第2中学そのくらいなら、少し近いくらいの“はず”だった。 公立校で、家同士も近くて、平穏な日はどこに行ったのか。 その日、僕にとっては高校生活最後の4月が始まり、5月の連休のまえに、どうにか作品のモチーフでもと、ふらっと立ち寄っただけ。サクラでも見て、青い春を見ておくか。そこで正門にある一番綺麗なサクラを選んだところに、飛び込んできたのは白熱した別れのシーン。サクラでも見てれば、少しはあの頃の情熱を取り戻せるのではないだろうかという、そんな淡い期待を持ってしまっただけ。 それも彼女は「必然のことだよ」と言ったりする蒼葉に、「また言ってるな」と、思ったりする僕。 これは、ただの偶然の物語りっていうものか、はたまた、なんとも間の悪いことこのうえない事件に遭遇しただけなのか。言えるのは、衝撃が走ったのは、確かだったということだろう。
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